雪夜庵閑話

俗世を離れ、隠遁生活を始めた団塊世代です

スバル360

 昭和42年(1967)版「主婦の友」の家計簿(昭和42年新年特大号付録)に載っていた懐かしいスバル360の広告である。

 小説や音楽、映画に車など、その時代の思い出としっかり結びついたものがある。 このスバルなどもそのひとつ。

 家計簿に載せた広告だけあって、車の経済性、耐久性、維持費について具体的に数字をあげてアピールしている。 この車の販売のターゲットが初めてマイカーを買いたいと考えている中流階級であったことがよくわかる。 ちなみに、昭和43年のサラリーマンの平均年収を調べると531,800円(サラリーマン年収|年次統計 (nenji-toukei.com))で、338,000円の車を買い、月3,292円の維持費を捻出するのも無理なことではなかったであろう。

 それにしても、この写真の家族と住まいの何と懐かしいことだろう。親の代に建てたと思しき年季の入った住まい。 車の次は住宅ローンを借りて二人の子供部屋も備えた洋風の家に建て替えようと計画していることだろう。 何しろ当時は給与が毎年面白いように上がっていたのだから。

 ところでスバル360は、昭和33年(1958)から昭和45年(1970)まで12年間にわたり製造販売された富士重工の傑作車であり、今でも車好きが大事に走らせているのを見かけることがある。(ネットで調べると、なんと中古車が100万円以上で売られている。) 昔、学生時代に友達が親から買ってもらったスバル360を持っていて、乗せてもらったことがあるが、外見の割に車内が広く、ボディーをちょっと押さえたくらいでもふにゃっと沈むほどサスペンションがフワフワで、当時の悪路を走っても舌を噛むようなことはなかった。 もっとも車高が低いものだから、道路の凹凸をよけて走る必要があったようであるが。

 初めてのマイカーがスバルだったという人は多く、みんな大事に乗っていたものである。 まさに昭和の高度成長期を代表する車であった。