雪夜庵閑話

俗世を離れ、隠遁生活を始めた団塊世代です

貞観園

 先週の木曜日、柏崎市にある貞観園の庭園特別公開に行って来た。 ここは柏崎から十日町に抜ける街道沿いの旧高柳町にあり、庄屋の村山氏が江戸時代中期以来代々にわたり名高い作庭家を招いて作り上げて来た庭園が有名で、豪雪地ゆえ公開は6月~11月、さらに苔の保護のため通常は庭園内に入ることはできないが、今回は「庭屋一如研究会」の藤井講師の案内で庭園内を巡る機会を得た。

県道から貞観園へ登る入り口 風雪に耐えた石段が続く

上段の間から見る庭園

 この庭園は、自然の地形を生かし、裏手の山から水を引いて滝や池を配置し、その中に茶亭が点在している。また湿度の高い環境から苔の生育に適しており、前日の雨に洗われた苔の緑がひときわ見事であった。

庭から主屋(貞観堂)を見る

庭屋一如研究会の藤井講師

 見学会の終了後、ご当主の村山さんに話を聞くことができた。

・この辺りは冬は積雪が2メートルを超す豪雪地帯で、主屋の屋根は鋼板葺きにしたので雪は滑り落ちるものの、そのままでは1階部分が埋まってしまうので、除雪機で落ちた雪を飛ばしている。

・庭園の草取りや苔の手入れ、剪定などは4人でやっている。

・庭園に見学者を常時入れると苔がダメになるし、かといって見学通路を竹や紐で仕切ってしまうと見た目が悪くなるので、通常は座敷からの見学に限定している。

・財団法人化したのは昭和15年と早かったが、そうしなければとっくに相続税でつぶれていた。

ご当主の村山さん(右)、講師の藤井さん(中央)、アシスタントの方(左)

 それにしても、民間の財団法人の運営で、この豪雪地帯で、6月~11月だけの公開で、よくこれだけの庭園と建物が維持できるものだと感心する。

 しかも、庭園は手入れが行き届き立派に維持されている。 これは代々の当主のこの屋敷に対する愛着と、責任感により守り抜かれているからであろう。 家屋敷が主の手を離れ、第三者が管理するようになると、このようにはいかないように思う。

地元紙に載った見学会の記事