雪夜庵閑話

俗世を離れ、隠遁生活を始めた団塊世代です

日本三大タヌキ

 梨木果歩の「やがて満ちてくる光の」(新潮文庫、2023)を読んでいたら、「淡路島の不思議な生きものたち、そしてタヌキのこと」という一文の中で、作者が淡路島を取材で回っている道中で、偶然「柴右衛門」というタヌキを祀った神社に遭遇し、それが日本三大タヌキの一匹に数えられる有名な霊力の強いタヌキであることを知ったというくだりがあり、興味をそそられ、早速ウィキペディアで調べてみた。

 その結果、日本三大タヌキとは、

①淡路島の柴(芝)右衛門タヌキ ②佐渡島の団三郎タヌキ ③屋島の太三郎タヌキの3匹をいい、日本三名タヌキとも言う。 いずれも土地の民話で語り継がれる様々な妖術を使う徳の高いタヌキの領袖であったと言われている。

 同じ県内のよしみで佐渡島の団三郎タヌキについて調べてみると、彼は大変裕福で、人間相手に金貸しをしていたそうな。

河鍋暁斎による団三郎タヌキの図(ウィキペディアから)

 タヌキの親分から金を借りるとは愉快極まる話である。 佐渡のタヌキで思い出したのであるが、以前行ったことのある小千谷市の真人(まっと)という所に「真人のむじな穴」といわれる山の中の穴があり、江戸時代に悪さをするむじな(タヌキのこと)を退治しようと、人々がこのむじな穴の中に煙を充満させて燻り出そうとしたが、なんとこの穴は海を隔てた佐渡島まで通じていて、佐渡の山から煙が上がり、むじなはまんまと佐渡島に逃れおおせたと伝えられている。さらにこの真人むじなの親分が佐渡島の団三郎タヌキになったとも言われているのである。(小千谷市観光協会「真人むじなの伝説」)

真人のむじな穴 山間地の道沿いにある(2021年撮影)

むじな穴の説明文(2021年撮影)