雪夜庵閑話

俗世を離れ、隠遁生活を始めた団塊世代です

寂しい街

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 今日は朝から天気も良く、暖かなので、久しぶりに歩いて街に出てみる。  

 緊急事態宣言解除後の土曜日ということもあり、街中に出かける人も増えたようで、先週は貸し切り状態だった喫茶店もいつもの週末の5割くらいは入りが戻っているようであった。

 しかしながら、街の様子は今回のコロナ騒ぎを経て変わりつつあるような気がする。 今日、歩いて気が付いただけで、2軒の店のシャッターに貼り紙を発見した。 本屋に酒屋。 いずれも中心市街地で何代も続いてきた店である。 1軒は廃業、もう1軒は破産。 多分、業種柄もともと経営状態がジリ貧だったものが、コロナ騒ぎによる影響でギブアップしたのだろう。 そういえば、緊急事態宣言を受けて店のシャッターを閉めて以来、いつになったら開けるのかわからないような店もあり、コロナが終息した頃には街の様相も大きく変わってしまうのではないだろうか。 

 コロナで倒産や廃業したというよりは、もともと地方都市の人口減によりじわじわと体力を蝕まれていたところにコロナが一気に変化を速めたのだ。

 この街も遠方からのお客を地元の自慢のお店だからと案内していくところも随分少なくなってしまった。 古くからの地元の店のなくなった後に出てくるのは、全国チェーンの居酒屋くらいで、駅から続くメインストリートには老舗の商店に替わり安っぽい居酒屋ばかりが軒を並べるという状況で、昼間などうらびれた風情が何とも情けない。

 長年住み慣れた街に暮らす楽しみは、大きくはなくても昔からある本屋に入って好きな作家の本を選び、いつもの喫茶店でコーヒーを飲みながらページをめくり、帰りに家人に頼まれたパンでも買って、ブラブラと街の様子を眺めながら家路をたどるような日常にある。

 そんな楽しみがいつまで続けられるのだろうかと思うこの頃である。