雪夜庵閑話

俗世を離れ、隠遁生活を始めた団塊世代です

湯治(2)

 腰の具合は少しずつ良くなって来てはいるのだが、まだ時々痛みがあり、ゆっくり温泉にでも浸かって気分転換でもしたいものだ、という気持ちが嵩じて、家族で瀬波温泉新潟県村上市)に泊りがけで行って来た。

 宿は「大観荘」という昔からの団体客向けの大旅館に泊まった。ちょうど1人3千円の県民割も使える期間中でお安く泊まることができた。 ここは海に面した露天風呂が売りで、夕陽が海の沈むのを眺めながら風呂に入るのを楽しみにしていたが、残念ながら雲が掛かって夕陽は見えず。

バブル期の名残のロビー

客室からの海の眺め

天気が良ければこのような夕陽が見える由 露天風呂からの眺め (大観荘のHPから)

 翌日は、村上の旧市内で開催中の「町家の人形さま巡り」に足を運んだ。

 村上は城下町で古い町家が多く残り、商店などに代々伝わるおひな様をこの時期に公開しているもので、昔のままの建物が見られる。

 まずは、お茶の九重園にて。 大正期の座敷でお茶を喫し、江戸時代から代々のおひな様を見る。

九重園(茶舗)の座敷からおひな様を見る

九重園の庭の猫 地域猫の由

 次に村上の鮭料理を世に広めた「きっかわ」へ。 店の奥の土間にぶら下がる鮭。

きっかわの鮭を吊るした土間

きっかわの明治期の座敷に並ぶおひな様 

古い建物が並ぶ町中の小路 夜になると辻斬りが出て来そうだ

 そして今日のお昼は、江戸時代から続く老舗割烹の「吉源」で。

吉源の入口

 吉源の建物は昭和4年(1929)の建築(国登録有形文化財)で、外観、内装共に昔のままで古色蒼然としている。 お昼は我々だけの貸切状態。

吉源の玄関

 通された小座敷は格天井で、凝った天然木を生かした床の間に目をひかれる。

天然木を生かした床の間

 料理は、周りの店の田舎料理とは別世界の洗練されたものが出される。

 コースの終りには、村上牛の焼き物にビーフシチューも出て来て満腹 満腹。

前菜

 歴史ある料亭だけに、犬養木堂(毅)、嘉納治五郎、尾崎咢堂(行雄)、巌谷小波などの書を収めた額や屏風が見られる。

吉源主人の吉田氏から古い屏風の説明を聞く

ほかの部屋を覗いてみる(大広間)

 今の世の中において、これだけの大きく古い料亭の建物と、料理の水準を共に維持していくことは本当に大変なことだと思われる。 吉源主人・吉田昭一郎氏の健闘を祈るものである。

吉源外観

 村上のお土産。 吉源隣の骨董屋で買った訳の分からん品々と〆張鶴