雪夜庵閑話

俗世を離れ、隠遁生活を始めた団塊世代です

クラシック音楽配信

 リタイヤ後の主な楽しみは、読書とクラシック音楽の鑑賞である。 もちろん、これ以外にもやりたいことは色々あるのだが、コロナ禍の影響で自ずと家の中での楽しみが主にならざるを得ない。 音楽を聴くにはこれまでCDを購入していたが、利便性や経済性を考えると音楽配信サービスを利用する方が良かろうと「試用」をはじめてみた。

Amazon Music HD

 もともとAmazon Prime会員になっていたので、PrimeMusicは使っていたが、いかんせん聴くことのできる曲が限られているので、6500万曲以上が聴き放題でなおかつ高音質ストリーミング配信を売り物にするAmazon Music HDを90日間無料で試してみることにした。 料金は、Prime会員料金 月500円(税込、年払い4,900円)に加え、月1,780円(税込、年払い17,800円)となる。

 このサービスの良いところは、自慢するだけあって音質がとても良いこと。 これなら確かにCDにこだわる必要はない。 また、Amazonお家芸である「〇〇を聴いたお客様にお薦め」として並ぶ選曲がとても良くて、聴いてみたくなる初めての曲がいろいろ出てくる。

 良くないところは、6500万曲以上といっても、私の聴きたいクラシックのジャンルはさほどでもないようで、演奏家を限定して探しても出てこないことが多い。 また、最も不満な点は、曲名等で検索しても出てくるリストがサイコロのように小さなジャケットの写真とその下に10文字くらいで途切れた原語表示が並んだもので非常に見にくく、おまけに関係のないものまで混じるといういい加減さで、レコード屋の店員でもない限りこれで探そうとしても神経衰弱になるであろう。

■Naxsos Music Library

 クラシック音楽に特化した音楽配信で、配信CDは13万7千枚(213万曲)とのことである。 料金は、月2,035円(税込、年払い22,500円)で、無料のお試しはないようなので、とりあえず月払いで契約してみた。

 驚いたのは、世の中にこんなにCDが発売されているのかというくらい、聴いたこともない曲や演奏家のCDが並んでいることで、さすがクラシックに特化したと言うだけのことはある。 例として、「シベリウス交響曲第1番」を検索すると、発売年によるダブりと思われるものを除いても約40枚が出てきた。

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 こんなリストが延々と出てくる。 NAXSOSの良い点は、このように検索がしやすく、かつ見やすいということである。 演奏を聴き比べするような場合はとてもいいだろう。

 また、聴いたこともない珍しい曲や演奏家がゴロゴロ出てくるので、カネを払ってまでCDを買う気はないが、定額なら聴いてみるかということもあろう。

 欠点は、Amazon Music HDに比べると音質が劣ること。 同じアルバムで聴き比べてみたが、明らかに音質はAmazonが良い。 もっとも、比べてみるからわかるのであって、これだけ聴いていれば聴くに堪えないというようなものではない。 

 もう一つ、もっと困った点は、スマホで聴くと1曲終わると次の曲に進まないことで、これは致命的なので、NAXSOS JAPANに照会中であるが、どうもアンドロイド端末に発生する事例のようで、同社のHPにも「Android端末では、機種により、15~20分以上の連続再生ができない場合があ ります」などと(正直に)書いてあり、解決できていないようである。

 また、参加レーベル数は971とあるが、もちろんすべてのレーベルが入っているわけではなく、ドイツグラモフォンは入っているが、ソニーは参加していないようである。

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 という訳で、現在、2社の音楽配信を「試行」しているが、考えてみると、もう何カ月もCDを買っていない。 また、既存のCDを聴くことも滅多になくなってしまった。 なんといっても音楽配信は手軽に、好きな曲を選んですぐに聴けることが長所である。

 ただ、その一方で、何か音楽を聴くこと自体が軽くなってきて、ちょっと聴いてつまらないと思えば、はい次のアルバムと、TVのチャンネルを渡り歩くような感じになりつつある。

 昔は、1枚のレコード(CD)を買うのにもどれにしようか? レコード雑誌を隅々まで読んでは、ワルタークレンペラーかなどと呻吟し、ようやく買った盤に針を下ろすや、しかつめらしく腕組みをして聴き入ったものであった。 レコード(CD)の1枚1枚が財産だったのであり、それが少しずつ増えていくのを見ると、自分の音楽的な精神が豊かになっていくのが実感できたのである。

 それはお前が物に囚われているからだ、大事なのは物ではなく中身(ソフト)だと言われればその通りなのだが・・・